先制テンパイを外すケース
テンパイを外すことのリスク
まず第一に、「先制テンパイを外す」ことは大きなリスクを伴うため「外すに見合うリターン」必要。
先制テンパイを外すということは、「今すぐに和了抽選を受けるメリット」というメリットを放棄する行為なのであるそれに見合うリターン、具体的には「和了率上昇(良形変化)」と「打点上昇」のいずれか、または両方が必要。
◉先制テンパイ外しの原則
①良形テンパイは外さない
元々良形で、外しても和了率は上昇しない
②愚形テンパイで良形変化のみの場合は外さない
例外を除き、外した結果トータルで和了率が上昇することはほとんどないため
③愚形テンパイで打点上昇がある場合は巡目次第で外す
打点が2倍以上上昇するなら、多少和了率を落としても局収支が良くなるため。
④中盤以降(10巡目)は外さない
他家テンパイ率や流局時テンパイ料との兼ね合いで、テンパイを外すデメリットが大きくなるため。
まず、実戦でテンパイ外しを選択すべきケースの多くが「③打点上昇がある愚形テンパイ」になる。①や②は基本的に損な選択。
◉②の打点上昇がない愚形テンパイを外すためには良形変化が豊富にあり、再度テンパイし直した際の和了率が大きく上昇する必要がある。
平均的な愚形テンパイである「3.7待ち愚形テンパイ」と「四連形含みのくっつきイーシャンテン」の和了率は3巡目で愚形テンパイの方が高くなり、以降その差は拡大していく。つまり、たとえ序盤であっても、和了率のみを理由にテンパイ外しをする局面は限定的となる。
通常の四連形+孤立牌程度の1シャンテンであれば、良形変化のみを理由にテンパイ外すことは基本的にありえない。
四連形×2や中ぶくれ・七連形が絡むケースでは序盤なら外す。
◉打点上昇がある先制愚形テンパイを外すケース
実戦で頻出する打点上昇手変わりはピンフ、タンヤオ、ドラの3つ。
四連形があるタンヤオ
中盤(10巡目)より前であればテンパイを外す。ドラ1でも同様。
中ぶくれのドラ+四連形
中盤(7巡目)からは即リーチ。それ以前ならば外せる。
四連形がないタンヤオ
序盤であればテンパイ外して、中盤以降は即リーチ判断。ドラ1でも同様。
ピンフしか打点上昇がない場合
ピンフの打点上昇はさほど大きくないため、通常テンパイ外しの理由としては弱いが、四連形×2相当以上の手変わりがあれば外すことができる。中盤以降は即リーチ判断。
ドラが0〜1枚の打点上昇有りの愚形テンパイは、手変わりのメリットが非常に大きいため四連形なしのケースを含めて序盤、中盤の前半まではテンパイ外す余地がある。
ドラ2だとメリットが小さいので基準よりやや外す巡目を早めに調整する。ほとんど外さない。
先制愚形リーチ判断
先制良形テンパイと同様、愚形テンパイであっても多くのケースで即リーチすべき。
◉役なし愚形テンパイ即リーチ
リーチドラ1愚形をテンパイ外して良形にするまでに他家に自由に手作りされ失点してしまうマイナスの方が長期で見ると大きくなる。
特にドラ1以上ならば勝負手と認定して、必ず即リーチする。
◉子の役なし愚形リーのみ基準
ドラ1と比べると優劣は微妙だが、これも原則即リーチ。
ただし、愚形で和了率もそこまで高くなく反撃を受けた際の放銃リスクはそれなりに高い一方でこちらはドラ0の打点のリターンもない。
そのため、原則は即リーチとしながらも巡目、待ち牌の場況、点数状況、主にリスク回避の観点から繊細に判断を調整する余地がある。
なお、親であれば平均打点が高いため、即リーで問題なし。
◉役あり愚形テンパイ(ダマ3以下の基準
子のダマ5200、6400点と親のダマ7700、9600点以外は全て即リーチ。
例えば愚形であっても打点上昇が大きいためリーチ。
ただし、5200と7700はダマ寄りに判断する。ここが良形と異なる。
また七対子は打点上昇率が非常に高いため、良い待ちならば即リーチすべき。
◉役あり愚形テンパイ(ダマ4以下の基準
リーチを選択すると和了率の低下影響が大きく、局収支が下がってしまう。
先制良形リーチ判断
リーチ判断で1番重要なことは「基準を設けること」先制テンパイした際にリーチを打つかをどうかの選択は頻繁に頻出する。頻出する項目だからこそ判断がブレて毎回違う選択をしてしまうと成績が安定しなくなる。
基準を設けることと考慮要素を柔軟に取り入れ両立させる。
つまり、「リーチ優位な手」と「ダマ優位な手」と「状況によって変わる手」の基準を知り、基本はその基準に従いながら、最後に他の要素で調整するイメージ。
◉役なし良形は全て即リーチ
麻雀は原則自分が和了しなければ失点するゲームなので先制テンパイが入った時点で「加点できる可能性が上がり、失点する可能性が下がった」チャンス状態。
なので、額面では1300点だが平均は2800点あり、さらに失点しない。役なし良形テンパイは出和了できるように全て即リーチする。
◉役あり良形テンパイ(ダマ3以下の基準
基本的に子のダマ6400、親のダマ9600を除いて全て即リーチする。
これは打点上昇が他と違い小さく、リーチ時の和了率を下がるため局収支上もリーチとダマでは差が変わらない。
よって、差が小さいケースは平均的に得られる特典が同じといことになるので、暫定の持ち点、局数によって判断を変える必要がある。
基本的には和了率が高くなるダマ選択が安定する(子の6400と親の9600)
その上で子の1000点と1300点は主にリスク回避、子の5200と親の7700は和了し逃しを避ける目的でダマ選択の余地がある。
上は巡目が深い時や両面の和了枚数が少ない時など押し返しのリスクが高い状況と考えられるのでダマ選択は十分ある。
下は満貫に満たないものの南場での均衡した点数状況等で最終的に良い順位を取るための決定だとなりうる点数。そのため和了率の高いダマ選択が有効な場面がある。
◉役あり良形テンパイ(4以上の基準
基本的に子のダマ5以上はリーチで出和了ハネ満確定とする価値が高いので原則リーチしますがその他、特に子のダマ6以上と親はダマよりに判断する。
これは満貫以上の手は半荘で良い順位を取る決定打となる可能性が高いチャンス手であるため、リーチ判断により出和了率を下げて和了逃しをしてしまうことが大きな損になると考えられる。
和了率を重視する場面ではしっかりダマ選択する必要がある。親のダマ4などは基本ダマ。
あとはルールによる。天鳳などはラスが負けだからダマ寄りになるが収支戦だとリーチとか。
◉点数状況と残り局数による判断
南1局まではよほど2着目と離れたトップ目でない限り過剰に意識してリーチ判断を変える必要はない。
トップ目で下と近い場合は南2以降はダマよりになる。
リーチの強さ
リーチとは現代麻雀において最も重要な役の一つ。テンパイしてリーチかダマテンかの判断の精度は成績に大きな影響を与える。
そもそもテンパイ即リーチはなぜ強いのか?
「打点上昇」と「他家の手牌進行に制限がかかる」
この2つのメリットが非常に大きい。
①打点上昇
子のピンフドラ1(ダマ2000)はリーチして平均約6300点、1発裏ドラなしで3900点だが複合すれば8000点となるためリーチの1飜による打点上昇が大きい。
さらに、ピンフドラなし(ダマ2000点)は約平均3700点。ピンフドラ2(ダマ3900点)は約9100点にも上がる。
1半荘で和了できる回数はそう多くないことから和了したときの打点がダマに比べて2倍以上になる一方、和了率は半分以下にまで落ちないことから即リーチは優秀な選択であることがわかる。
②他家の手牌進行に制限がかかる
リーチを受けた際、他家は押すか引くかの選択をする。
セオリー上、自分の手牌が2シャンテン以上ならばリーチに対してオリを選択してくる。
1シャンテンならば良形や打点、押す牌の危険度を考慮して一定の条件をクリアして押してくるが、序盤だとその条件がクリアできない方が多い。
よって順目が早ければ他家がオリを選択することの方が多い。オリを選択した他家の和了率がほぼゼロとなるので自分のツモ抽選が多くなるので和了率が上がる。
したがって、即リーチを打つことによる総合的な加点期待値は非常に多くなる。
先制リーチ時の考慮要素(先制でテンパイしたときにまずこの要素を頭で考えて判断することを癖つける)
①和了率と待ちのよさ
②期待打点
③親or子
④順目
⑤点数状況と残り局数
⑥手変わりの質と量
⑦他家の動向
①和了率と待ちのよさ
◉良形テンパイはリーチ寄り(和了率が高く見積もれ、和了時に1発やツモが複合しやすい
◉愚形テンパイはダマテン寄り(良形よりも和了率の差があるためややダマテン寄り
◉出和了が期待できる待ちはリーチ寄り(序盤に切っている牌の外側やひっかけなど
②期待打点
◉ダマテン3飜以下はリーチ寄り(4までは打点上昇が大きいため
◉ダマテン4飜以下はややダマテン寄り(満貫が確定してるため和了率を高くする
◉ダマ5飜はややリーチ寄り(ハネ満を確定することが大きい
◉ダマ6飜はダマテン寄り(ハネ満が確定しているため打点上昇よりは和了率を高くする
③親or子
◉親→リーチ寄り
打点が1.5倍で上昇率が大きく、流局しても連荘するため打点上昇を重視してリーチ寄りに判断する。
◉子→ややダマテン寄り
④巡目
◉序盤から中盤(9巡目まで→リーチ寄り
流局まで巡目が多く、ツモ抽選を受ける機会が多いため和了率が上がる。また早い巡目ならば他家がオリを選択することもあるため、平均的に和了率が上昇するためリーチ寄りになる。
◉中盤以降(10巡目以降→ややダマテン寄り
ツモ抽選を受ける機会が少なくなる一方、リーチがかかっていなければテンパイ料との兼ね合いで他家が危険牌を放つケースが増えるので、リーチとダマテンの和了率の差は大きくなる。
ただし「やや」ダマテン寄りなだけ
⑤点数状況と残り局数
◉トップ目→ややダマテン寄り
暫定トップ目の時は、加点のメリットが相対的に小さく、局を進めることの方が大事なので、打点上昇よりも和了率を上げるのでややダマテン寄り。
◉ラス目→リーチ寄り
暫定ラス目の時は、トップ目とは逆に加点のメリットが相対的に大きく、局数を減らことがマイナスに働くので、打点上昇を高めリーチ寄りになる。
◉東場→リーチ寄り
東場のうちは残り局数がまだ多いため、暫定着順や局回しを強く意識せず、積極的にリーチする
◉南場→ダマテン寄り
残り局数が少なくなり、特に南2以降は1回の和了が最終順位に直結する展開が多い。必然的に和了率を重視してダマテンを選択するケースが増える。
⑥手替りの量と質
◉役ありテンパイに受けながら良形や打点上昇変化を待てる時はダマテン寄り
⑦他家の動向
◉他家の捨て牌から明確に危険なサイン(ドラ切り、リャメンターツ落とし等)が出ている→ややダマテン寄り
重要なのは「先制テンパイ即リーチ」の原則を理解した上で、上記の考慮要素をうむく取捨選択してダマテンも使い分けること、すなわちリーチ判断の精度を上げていくこと。
目標
河をしっかり見る
強者は仕掛けがうまい
まずは「愚形の部分は面前で解消するのが非常に難しい」この意識を常に持ち、平場なら愚形は積極的に捌いていく。
ただし、安くて苦しい手牌の時はスルーする。
仕掛けが1番効果的なのは誰も先手を入れていない序盤。中盤過ぎや相手がテンパイ気味の仕掛けを入れている時はスルーする場合がある。
基本的に愚形があるときのポンテン、チーンテンはほとんど取ったほうがいい。愚形があるときの1シャンテンは面前だとかなり時間がかかることは必ず意識する。
ただし、上記と同じように高打点は積極的に取るが、打点が低い手牌はスルー気味になる。(例、1飜役だけなど)ドラ1あるならば積極的に。
●愚形の部分を解消してのバッグ仕掛け
愚形部分が解消できることが大事。両面があるときなどリーチできる手牌ならばリーチを目指す。
●チートイはトイトイを目指せ
基本的にチートイ1シャンテンよりトイトイの方が平均スピードは上
特に端牌トイツが多く含まれていたり、アンコがあるケースなどは仕掛ける。
ただし、トイツの牌が既に2枚以上切られてしまっている場合やドラが1枚浮いているなど危険牌が浮いている状態ならチートイ進行。
基本に立ち返る
●安易に愚形を払わない
基本的な手の進め方は「ひたすらシャンテンを下げて、手なりで打つ」
「1シャンテン→良形の1シャンテンを逃すより、1シャンテン→テンパイを逃す方がはるかに辛い」ということを意識する。
「愚形引きの両面テンパイを逃さないようにしつつ、両面が入ったら愚形リーチも辞さない」というフォームが1番成績が伸びる。
●役牌を徹底的に利用する
使いづらい端牌を持つより、役牌重なりを見る。
●赤牌に囚われすぎない。
1シャンテンのときに、受け入れを狭めてまで無駄に赤を引っ張らない。引っ張る時は受け入れが変わらないことや打点が大きく変わる時(仕掛け)打点が欲しい時。
●先手即リーチ
先手両面なら基本的には即リーチ。基本中のセオリー。愚形でもリーチ。愚形でひたすらリーチをすることが成績低下に繋がることはほぼ無いと思っていい。
●ダマテン基準
愚形待ち満貫
両面待ちのハネ満以上(もしくは高めハネ満
1枚切れの456牌のドラ表など待ちが悪すぎる場合
オーラスやラス前などの条件戦の要素が強い局面
現張りで愚形や、平和のみの手牌(先手リーチが入ってる局面やドラポンなど
役ありで手変わりが多い場合
しかし、ダマにすべき手をリーチしてしまう人よりも、リーチすべき手牌をダマにしてしまうことの方が多いので、リーチを自重しすぎる癖はだけはつけない。
●テンパイ外し
基本的に「麻雀は34種類も牌があるため、1度テンパイを外してしまうと、テンパイし直すのにかなり時間がかかる」
待ち枚数が多くなるだけのテンパイ外しは基本的にはしない。打点と待ち枚数の両方が上がる可能性のあるテンパイ外し狙いを意識する。
●1飜→3飜のテンパイ外しは有効
リーのみ愚形の1飜から3飜への手変わりは有効。リーのみからメンタンピンなどの変化。
序盤ドラなし役なし愚形テンパイならテンパイ外し有利。中盤以降であればテンパイ外しのメリットは少なくなる。
●追っかけリーチ
両面以上で2〜3飜の手牌ならば現張り関係なくリーチを打つ。
●追っかけリーチ基準
基本的にしない方がいい追っかけリーチ
子に対して、危険牌を切ってのリーのみ愚形での追っかけ
5200未満の愚形での親リーチへの危険牌を切っての追っかけ
チートイのみで、悪い単騎待ち追っかけ
親ならば、親の打点と連荘のプラスを考えて、ほとんどの手で追っかけリーチ。